「インディペンデントなアーティストのネットワーク」瀧健太郎
[アーティスト間のネットワーク作りから]
アクティヴなビデオ作家を紹介する「テレピデミク!」展の海外巡回展を2003年から2004年にかけて行った。 もともとこのビデオアート展はVCTokyoが2002年に催した「香港ビデオアート特集」と「日欧新世代ビデオアート交流展」にてEU、アジアの各国にビデオ作品の出品の打診をしたことにはじまっている。
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フランスからは、マルク・プラスとドイツからB-BOOKSのタラ・ヘルプストを招聘し、更に国内から相内啓二と末岡一郎を作品とシンポジウムの両方で、飯村隆彦のインスタレーション作品を招くことが出来た。
フェスティバルは映像芸術を真摯に模索する意味で、昨今の商業映画やミュージックビデオといった映像手法とは一線を画したものとなり、また同時に実験映画やアートフィルムといったジャンルとも違うものとなった。そこで、このコンセプトが世界的にも通用するのではないかと目論み、世界巡回展を行うことになったのだ。
巡回展は過去にVCTokyoが国内で紹介してきたアーティスト・グループやオルタナティヴなアートスペースで行うことが決定し、実際に彼らを訪問し日本で作った自分達のプログラムを紹介する形となった。同時にインディペンデント・アートのネットワークを更に広める意義もあり、インドネシアのルアングルッパは彼らがジャカルタでビデオアートのフェスティバルを行う際に向こうから連絡してきたのを受けて、日本からテレピデミク!のプログラムを持っていくことになった。(その他、参加作家が現地でフェスティバルでの討論やワークショップに参加した。)
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テレピデミク!参加作家ウルリッヒ・フィッシャーの紹介でジュネーヴではアートスペース"Espace FORDE"で、ベルリンではニコラス・ジーペンとタラ・ヘルプストが参加するアートと哲学の書店"B-BOOKS"で、香港ではノーズ・チャンがマネージャーをしていたビデオアート・グループ「ビデオタージュ」で展示を、また香港での上映は、筆者と河合政之が2001年のビデオタージュ主催フェスティバル「Microwave」の際に香港アートセンターを訪れて交流を持っていたことから「テレピデミク!香港展!!」へのコラボレーションに結実した。
パリの日本文化館は2002年に東京の日仏会館とビデオアートセンター東京が共催で戦後のシュールレアリスム運動とも呼べるレトリスムの作家モーリス・ルメートルの絵画と映画の展覧会を行ったことから、パリ在住のモーリス・ルメートルがパリ日本文化館の映画上映担当者を紹介してくれたことに端を発している。
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また考慮の対象となるメディアの環境、アートの状況などもそれぞれの国で認識も違えば、歴史的な地点も違うということも同様にあげられる。 [つづきへ]