松本俊夫 時代の碑から構造の問題へ<その2>
未公開作品「Hands」 (1977) 、「Double」 (1977) をバックグラウンドで上映したのち、後半には「コネクション」 (1981) 、「リレーション 関係」 (1982 年 ) 、「シフト 断層」 (1982) が上映されました。 後半は会場の観客からの質疑が行われました。
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音と映像のコラボレーションについて
質問:一柳慧さんや稲垣洋祐さんなどが音を担当されていますが、作品に音をつける際にどういう意識を持っていらっしゃいますか?またはコラボレートする音楽家に一任されるのでしょうか?
松本:もちろんいろいろ話をします。作品がどういう世界を狙っているか、その意図とそれを作品として構築してゆく上でのポイントがありますが、そのあたりを際立たせるために全体というのが組み合わされているわけです。といってもやはりそれを一つにするに当たって対立させたり、融合させたりというのか、そういう関係なので、音と映像、聴覚と視覚の関係というのは、作品によっては、かなりぶつかり合うようにしようとか、あるいは溶け合うようにしようとか、あるいは構造的にここまではこう、といったことが大きく打ち合わせられます。
撮影の場合もそうですが、映像のコラボレーションというのは、作品を積み重ねる中でお互いがだんだん分かってくるというか、自分の作品以外のことでも、いろいろな考え方や趣味の交流があるし、そんなことを含めつーかーになってゆくのですね。それと信用しあうところと、だからこそ分かり合う範囲内のことだけをやるわけにもいかない、相手にハッとさせるような何かをぶちかましてやろう、ということも出てくるわけです。言ってみれば刺激的なインタラクションが起きるわけで、その楽しみで創っているわけです。