マデロン・ホーイカース アーティスト・トーク:ヴィデオアートの黎明期から現代へ
ヴィデオ・スパークスvol.3では、オランダのヴィデオアーティスト、マデロン・ホーイカースを招き、1970年代のヴィデオアート黎明期から近年の仏教的なアプローチによる新作に至るまでを上映とパフォーマンスを通じて紹介したました。
ホーイカースさんは70年代よりエルザ・スタンスフィールドと協働し、ヴィデオアート作品やインスタレーションを手がけてきたオランダのヴィデオアートの草分け的存在( *1)です。40年以上に及ぶ創作活動からヴィデオ・メディアの特性を知る手がかりを得ることができました。
マデロン・ホーイカース アーティスト・トーク 進行:瀧健太郎、通訳:藤井可奈子 モデレーター:中井澪
瀧(以下T):共同制作を長年されたエルザ・スタンスフィールドとの出会い、ヴィデオを使ったコラボレーションの始まりについてお聞かせ下さい。
ホーイカース(以下H):エルザとは1966年にロンドンのイーリング美術学校で出会いました。彼女は既にアーティストとして活動しはじめていて、私と一緒にフランスの映画作家のアシスタントをするなど偶然が重なり、一緒に作品を作る機会が増えました。ヴィデオを使いはじめた大きな理由は、フィルムですと試写や劇場で見せるしかないですが、ヴィデオはアートの文脈で彫刻のように見ている人と関係性を持てるということが魅力的でした。
T:初期のヴィデオ作品ではTV画面を2つ並べて再撮影するなど、ヴィデオの構造性がよく見えました。《Compass》と《The Force Behind Its Movement》では風という自然の力を可視化させるもの、そして3つ目に《Haiku》のような日本文化がテーマになっているもの、それらテーマの流れを教えて頂けますか?。
M:今回のタイトルを《インスピレーションと変容》とした理由は、私は長年に渡り青森の恐山のイタコの取材をしてまして、撮影が終わってイタコに着想(インスピレーション)を得た映像を日本の方に見せると何か自分の中で変容があるのではないかと思ってつけました。イタコ=盲目の霊媒師に会うため2年間準備をして、2週間の現地取材をするプロジェクトでした。オランダの仏教番組の為の取材でしたが、同時にその映像は自分の作品に使えるような契約をしてます。
"Compass” Stansfield / Hooykaas (1984)
ホーイカースさんは70年代よりエルザ・スタンスフィールドと協働し、ヴィデオアート作品やインスタレーションを手がけてきたオランダのヴィデオアートの草分け的存在( *1)です。40年以上に及ぶ創作活動からヴィデオ・メディアの特性を知る手がかりを得ることができました。
マデロン・ホーイカース アーティスト・トーク 進行:瀧健太郎、通訳:藤井可奈子 モデレーター:中井澪
瀧(以下T):共同制作を長年されたエルザ・スタンスフィールドとの出会い、ヴィデオを使ったコラボレーションの始まりについてお聞かせ下さい。
ホーイカース(以下H):エルザとは1966年にロンドンのイーリング美術学校で出会いました。彼女は既にアーティストとして活動しはじめていて、私と一緒にフランスの映画作家のアシスタントをするなど偶然が重なり、一緒に作品を作る機会が増えました。ヴィデオを使いはじめた大きな理由は、フィルムですと試写や劇場で見せるしかないですが、ヴィデオはアートの文脈で彫刻のように見ている人と関係性を持てるということが魅力的でした。
T:初期のヴィデオ作品ではTV画面を2つ並べて再撮影するなど、ヴィデオの構造性がよく見えました。《Compass》と《The Force Behind Its Movement》では風という自然の力を可視化させるもの、そして3つ目に《Haiku》のような日本文化がテーマになっているもの、それらテーマの流れを教えて頂けますか?。
M:今回のタイトルを《インスピレーションと変容》とした理由は、私は長年に渡り青森の恐山のイタコの取材をしてまして、撮影が終わってイタコに着想(インスピレーション)を得た映像を日本の方に見せると何か自分の中で変容があるのではないかと思ってつけました。イタコ=盲目の霊媒師に会うため2年間準備をして、2週間の現地取材をするプロジェクトでした。オランダの仏教番組の為の取材でしたが、同時にその映像は自分の作品に使えるような契約をしてます。
"Compass” Stansfield / Hooykaas (1984)
T:ヴィデオメディア自体の変容性ということもありますか?今日も見せて頂いたなかでも、ヴィデオはパフォーマンス、上映作品、彫刻、またテレビ番組や俳句(詩)にもなり得ることが見れました。
M:今ではヴィデオだけではなく、絵や写真、石などの様々な素材やメディアを使って制作する為、メディアのいろいろな変容性ということは挙げられます。初期にはヴィデオアートはなかなか受容されませんでしたが、現在では映像=ヴィデオが世の中に溢れ、わざわざヴィデオアートと言わなくてもいいようになりましたね。
観客:作品を見ていて、撮影時に世界に触れるように何かを見つけ、編集過程でまた何かに気づいて、完成時にも客観的に何かを発見されるのかな、と考えました。制作プロセスを感じさせる映像だと思ったんですが、現在の例えばノンリニア編集など便利になるとそういうプロセスが変わるのかどうかお聞きしたいです。
M:もちろんノンリニア編集とそれ以前のヴィデオデッキ2台によるリニア編集では、例えば2画面を作るのも、ノンリニアとは違って、リニアのときは同時に2台の再生機を一挙に再生させる必要がありました。その意味合いはかなり違ってきますね。
*1)クリス・メイ=アンドリューズ『ヴィデオアートの歴史』(三元社)オランダの状況にホーイカース/スタンスフィールドの詳細が記されている。
[プログラム]
スプリット・セコンズSplit Seconds Stansfield / Hooykaas (1979, 10min)/ コンパスCompass Stansfield / Hooykaas (1984, 2min39sec)/ 動きの向こう側の力the Force Behind Its Movement Stansfield / Hooykaas (1984,18min) /ランニング・タイム Running Time Stansfield / Hooykaas (1979,6min)/ 俳句 Haiku Stansfield / Hooykaas (2007, 28min)(「春」と「夏」を抜粋) [パフォーマンス] Drawing Mount Analogue Hooykaas (2010初演)
ウェブリンク:インスピレーションと変容 マデロン・ホーイカース オランダ・ヴィデオアートの先駆 70年代から現在まで
アーティストサイト:http://www.madelonhooykaas.net
“Drawing Mount Analogue” Hooykaas (2010)repeat performance
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