瀧健太郎×平本正宏 対談:ヴィデオ・コラージュから空間表現へ
[video reflexive vol.4] ヴィデオ:コラージュ/モンタージュ Video : Collage / Montage
vol.1
瀧健太郎 Kentaro TAKI ヴィデオ・コラージュ/パズル
2014年11月7日[金] 19:30- アップリンク・ファクトリー
2人のアーティスト、瀧健太郎と西山修平を「ヴィデオのコラージュとモンタージュ」というテーマで特集上映を二週連続で行う本企画の初回では、サンプリング音楽からコラージュ的なヴィデオを発見した瀧の足跡を、手法とその背景にあるテーマを、作曲家の平本正宏氏との対談で辿りました。
トークセッション 瀧健太郎×平本正宏 進行:西山修平
瀧(以下T):学生時代から音楽が趣味で、流行ってたサンプリング音楽を聴いたり、同時にライヒなどミニマルミュージックなんかを。当時コンピューターでノンリニア編集ができるようになり、97年からバイト先の会社の機材を自宅に借りてヴィデオの編集をコピペでできるようになり、「これとこれを合わせたらどうなるかな」などを嬉々としてずっとやってました。出来た映像を美術の展覧会にいれてもらったというのがきっかけで、普通の映画とかのじゃない方向にいったっていう。
平本(以下H):一個の画面の中が区切られていていろんな映像がそれぞれのタイミングででてきたりするんですけど、全体的にそういう要素があって、その中に存在する映像と音が常に同時並行的にでてきたりする。あれはどうやってやってるんですか?
T:音楽の多声性(ポリフォニー)を映像でやったらどうなるか、映像ならマルチチャンネルでやるしかないだろうと。Aという素材と同時にBも同時に出したら、お互い打ち消し合ったり、意味の作用が変わってくるかなっていう興味もあったんです。エイゼンシュタインのモンタージュ理論とか色々考えますが、時間軸上ではなく空間軸上にあれとこれを同時に出したらどうなるかっていう実験的な要素がありました。音楽的な意味と記号的な意味の両方やってみたらどうかなって。
H:それで結果としてある種の混沌さが生まれるわけじゃないですか。終わり方がこうだと気持ちいいとかはあるんですか?音楽も同様に終わり方に癖が結構でるんですよ。
T:記号の操作で遊んでると飽きてくるんです。すると時間の操作に入って、5分だからそろそろ終らせなきゃというのがあるかも知れません。
瀧の平面とヴィデオ作品の様子
瀧健太郎《ヴィデオ・シンフォニア#1》(2014)
瀧健太郎 Kentaro TAKI ヴィデオ・コラージュ/パズル
2014年11月7日[金] 19:30- アップリンク・ファクトリー
2人のアーティスト、瀧健太郎と西山修平を「ヴィデオのコラージュとモンタージュ」というテーマで特集上映を二週連続で行う本企画の初回では、サンプリング音楽からコラージュ的なヴィデオを発見した瀧の足跡を、手法とその背景にあるテーマを、作曲家の平本正宏氏との対談で辿りました。
トークセッション 瀧健太郎×平本正宏 進行:西山修平
瀧(以下T):学生時代から音楽が趣味で、流行ってたサンプリング音楽を聴いたり、同時にライヒなどミニマルミュージックなんかを。当時コンピューターでノンリニア編集ができるようになり、97年からバイト先の会社の機材を自宅に借りてヴィデオの編集をコピペでできるようになり、「これとこれを合わせたらどうなるかな」などを嬉々としてずっとやってました。出来た映像を美術の展覧会にいれてもらったというのがきっかけで、普通の映画とかのじゃない方向にいったっていう。
平本(以下H):一個の画面の中が区切られていていろんな映像がそれぞれのタイミングででてきたりするんですけど、全体的にそういう要素があって、その中に存在する映像と音が常に同時並行的にでてきたりする。あれはどうやってやってるんですか?
T:音楽の多声性(ポリフォニー)を映像でやったらどうなるか、映像ならマルチチャンネルでやるしかないだろうと。Aという素材と同時にBも同時に出したら、お互い打ち消し合ったり、意味の作用が変わってくるかなっていう興味もあったんです。エイゼンシュタインのモンタージュ理論とか色々考えますが、時間軸上ではなく空間軸上にあれとこれを同時に出したらどうなるかっていう実験的な要素がありました。音楽的な意味と記号的な意味の両方やってみたらどうかなって。
H:それで結果としてある種の混沌さが生まれるわけじゃないですか。終わり方がこうだと気持ちいいとかはあるんですか?音楽も同様に終わり方に癖が結構でるんですよ。
T:記号の操作で遊んでると飽きてくるんです。すると時間の操作に入って、5分だからそろそろ終らせなきゃというのがあるかも知れません。
瀧の平面とヴィデオ作品の様子
瀧健太郎《ヴィデオ・シンフォニア#1》(2014)
H:新作の《ヴィデオ・シンフォニア》は初期の作品に似せたとお話されてて、でも明らかにスピード感が断然早いですよね。もしかしたらパソコンの技術の問題かもしれないし、瀧さん自身の感覚なのかも知れないですが。初期の《ストールンエアー》(1998)は耳で音も追えるっていう感覚がすごいあったんですね。リズムマシーンで作ったようなサンプリングでリズムを作ったようなミニマルを作ったような音楽と映像が同期してるという感覚にゆくんですが、最後の作品だとすごいスピードで映像が転化していくと、音のほうはその変化を追ってるんですけど、目が追いつかないというその感覚が逆に面白くて。音の方がスピード感が細かく認識できるんですよ。逆に目の方が細かいのがバーってあるともう追いつけないというか。だから、同じように作った割には、結構視覚・聴覚に訴えかける刺激の感覚が違うなと思いました。
T:この10年の途中からは「ヴィデオとは何か」を延々出す作品があったり、ヴィデオ自体の問題について考えるようになって、その後テーマを身体や、日記ヴィデオ、詩の朗読のものへと…
H:詩の朗読は気になりましたね。あれは何を話しているんですか?
T:レトリストというフランスの戦後の前衛芸術運動があって、彼らの音声詩といわれる音響だけのポエムです。モーリス・ルメートルという映画作家であり、画家、詩人でもある人の、1960年代半ばの作品ですけど、本人に会ったっていうこともあって。
H:瀧さんが読んでいたのは全部テキストが事前にある?
T:謎の言葉の羅列があって、それを聞いて練習して。オーディエンスのいないところでやるっていうことが僕の中で決まってたんですよ。
H:因みに場所はどこなんですか?
T:大隈講堂です、早稲田の。大隈講堂のだれもいない時に、学生さんの一眼レフの撮影の授業だって言い張って、僕が謎の詩を読むのを1時間くらいで撮りました。モーリス・ルメートルへのオマージュですが、(撮影時に)40歳になって身体的に少し自信もなくなってきて、声を出せるうちにやってみたものです。これに味を占めて今後もシリーズでやっていこうかなと思ってます。
瀧健太郎《ショシピリ賛歌》(2013)
[プログラム]
ストールン・エアー the Stolen Air (1998, 5min)/テレビの中の戦争 War on TV (1999, 5min)/ラジオランタン Radio Lantern(2000, 5min) /交換可能都市Exchangeable Cities (2002, 8min)/序 Prologue(2004, 8min)/リヴィング・イン・ザ・ボックス -dimension/ Living in the Box -dimension (2010-13, 10min)/タングラム Tangram(2011, 3min11sec)/ショシピリ賛歌 Hymne A Xochipilli/du Japon (2013, 2min50sec) /ヴィデオ・シンフォニア Video Symphonia (2014, 5min)
関連サイト:現代美術や映画で亜流として培われてきた“ヴィデオ”という複製芸術
ウェブリンク:ヴィデオ:コラージュ/モンタージュ Video : Collage / Montage vol.2 西山修平 Shuhei NISHIYAMA ヴィデオ・モンタージュ/シュレッダー
西山修平×沢山遼 対談:ヴィデオのメディウム・スペシフィティ
TOP:ヴィデオ・スパークス/ヴィデオ・リフレクシヴ2014-2015
T:この10年の途中からは「ヴィデオとは何か」を延々出す作品があったり、ヴィデオ自体の問題について考えるようになって、その後テーマを身体や、日記ヴィデオ、詩の朗読のものへと…
H:詩の朗読は気になりましたね。あれは何を話しているんですか?
T:レトリストというフランスの戦後の前衛芸術運動があって、彼らの音声詩といわれる音響だけのポエムです。モーリス・ルメートルという映画作家であり、画家、詩人でもある人の、1960年代半ばの作品ですけど、本人に会ったっていうこともあって。
H:瀧さんが読んでいたのは全部テキストが事前にある?
T:謎の言葉の羅列があって、それを聞いて練習して。オーディエンスのいないところでやるっていうことが僕の中で決まってたんですよ。
H:因みに場所はどこなんですか?
T:大隈講堂です、早稲田の。大隈講堂のだれもいない時に、学生さんの一眼レフの撮影の授業だって言い張って、僕が謎の詩を読むのを1時間くらいで撮りました。モーリス・ルメートルへのオマージュですが、(撮影時に)40歳になって身体的に少し自信もなくなってきて、声を出せるうちにやってみたものです。これに味を占めて今後もシリーズでやっていこうかなと思ってます。
瀧健太郎《ショシピリ賛歌》(2013)
[プログラム]
ストールン・エアー the Stolen Air (1998, 5min)/テレビの中の戦争 War on TV (1999, 5min)/ラジオランタン Radio Lantern(2000, 5min) /交換可能都市Exchangeable Cities (2002, 8min)/序 Prologue(2004, 8min)/リヴィング・イン・ザ・ボックス -dimension/ Living in the Box -dimension (2010-13, 10min)/タングラム Tangram(2011, 3min11sec)/ショシピリ賛歌 Hymne A Xochipilli/du Japon (2013, 2min50sec) /ヴィデオ・シンフォニア Video Symphonia (2014, 5min)
関連サイト:現代美術や映画で亜流として培われてきた“ヴィデオ”という複製芸術
ウェブリンク:ヴィデオ:コラージュ/モンタージュ Video : Collage / Montage vol.2 西山修平 Shuhei NISHIYAMA ヴィデオ・モンタージュ/シュレッダー
西山修平×沢山遼 対談:ヴィデオのメディウム・スペシフィティ
TOP:ヴィデオ・スパークス/ヴィデオ・リフレクシヴ2014-2015