ブログ: 2005年3月アーカイブ

「ソーシャル・マトリクス/ペーター・ヴァイベル回顧展を見て」瀧健太郎

「警察署」の看板の下に立つ男の写真。彼が手にしている紙に「は、嘘をつく」。

 写真の中でメッセージを持つ自身を撮影するというシンプルな手法で、権力を諧謔する作者のペーター・ヴァイベルは、60年代の半ばから言葉を使ったパフォーマンス、拡張映画、ハプニング、コンセプトアートや状況表現、閉回路のビデオ・インスタレーション、そしてコンピューターを使った作品を徹底した批判的な立場から表現し続けている。

「ソーシャル・マトリクス/ペーター・ヴァイベル回顧展を見て」瀧健太郎<その2>

 ところで、彼はロックバンドを組織し、政治的なメッセージを音楽で行っている。「Hotel Morphila Orchester」と名づけられたそのバンドでは、ヴァイベルはヴォーカルを担当し、歌とマイクを頭で叩くパフォーマンスなどを行っている。また80年代にはコンピューターを使用した、デジタル・ビデオからメディアアート領域と呼ぶべき一連の実験を行っている。 最後のセクション「若き俳優としての作家ポートレート」では、若きヴァイベルが劇映画で俳優を演じている。